住み慣れた家は離れたくないねと父は言いました

マイホームを建設する際、父はこう言いました。
「住み慣れた家や土地から離れたくないね」、その表情は寂しそうでした。
しかし、私たち夫婦が説得し、一緒に同居を促し、都内で二世帯住宅を建設することになりました。
父は終始寂しそうでした。私はこのままでいい、私はもうすぐ死ぬから、繰り返し、父はそう言いましたが、父もそろそろ介護を迎え歳も80をゆうにこえていました。
そんな中、半ば強引に私たち夫婦は父連れて、新築の家に迎えました。父は実はこの時長くは無かったのですが、新築の家で住むようになり、とても満足していました。
孫の顔や世話も行なうことが出来、最期はなかり満足だったでしょう。
そんな新築の家でしたがある会社に設計と施工一体型に委託しましたが、設計についてはかなりの注文をつけました。特に私は書斎が欲しかったこと、妻は、水回りの部分、子どもは自分の部屋などそれぞれ意見がありましたが、私は父の部屋を一番広くして欲しいと言い、建設会社はその注文に十分にこたえて誠実に家をつくってくれたことは生涯に残る思い出でした。