都市の再開発という事で、家を移転するという事になりました。話が出てから何だかんだ20年ぐらいの歳月が流れたと思います。その間私は仕事で全国を転勤して回って、代替え地の話、移転費用など全て両親に任せていました。
代替え地も決まり移転の時期も明確になった頃、私も地元に帰っていたのですが、突然父親が代替え地にはアパートを建てる、住む家はお前が建てろと言い出しました。母親は近所に良い土地があったから手付金10万円払ってきたからと言います。
私はびっくりして急な話だと反対したのですが、父は怒る、母は泣く、妻は何時その土地を見たのか良いところだと言い出し、外堀が完全に埋まっていました。
土地は2000万円、建てて2000万円、ざっくりそんなところでしょうか、いきなりそんな借金をする未来が突き付けられ呆然としたことを思い出します。
それからは明確に移転の最終期限は決まっていますし、話はどんどん進んで行きます。工務店の担当者とも間取りは勿論いろんな事前打ち合わせもしました。建築着工前には地鎮祭も執り行うという事で、工務店の担当者さんは神主さんを呼んでくれると言います。その準備には米・野菜・お酒などに赤い魚2匹が必要という事で、赤い魚を妻とスーパーで探しました。吉次や金目鯛の高いこと。これを2匹も買うのかと思うと、食べたことも無いような立派な魚を前に複雑な心境になりました。それでも一匹300円の小さな魚にするわけにもいかず頑張りました。
地鎮祭当日には突然施工主として挨拶をなどど言われ、家族と工事関係者しかいないのにしどろもどろの変てこな挨拶をしたものです。地鎮祭は無事に終了、お供え物は赤い魚2匹も含めて神主さんが持って帰られました。